幸せのサムシング・ブルー



※少し未来のお話。







「春歌お姉ちゃん……すごく綺麗」

純白の衣装に身を包んだ春歌の姿を一目見て、真衣はほうっと息をついた。

「ありがとう、真衣ちゃん」

照れたように笑い、視線を鏡へ戻す。
首元で光る古い指輪。
仕事仲間に借りたヘアピン。
ふわりと漂う真新しいヴェール。

「あ、もしかしてサムシング・フォー?」
「うん。トモちゃんがね、提案してくれたの。幸せになれるようにって」

真衣の隣で目を潤ませていた親友に笑いかける。
結婚の報告をしたとき、友千香は大きなつり気味の目に涙をめいっぱい浮かべていた。
自分たちの決して楽ではなかった恋路をよく知っていた彼女だから、我が事のように喜んでくれたのだと思う。

「これからは堂々と幸せになれるんだね!おめでと、春歌!」

化粧が崩れるのも構わず涙を流し、心いっぱいのお祝いを送る友千香に、春歌の目もぐっと潤んだ。

「あーダメダメ!アンタは泣いちゃ!」

慌ててハンカチを取り出し、春歌の目元を拭う。

「あれ、でもブルーは?見えないところに着けてるの?」
「今は、まだ完成してないんです。教会で、初めてサムシング・フォーが揃うの」

友千香はなるほどと笑った。

「もしかして、まさやん?」
「うん」

笑いあう親友たちに、真衣は首を傾げるばかり。

「お兄様?どういうこと?」
「ほら、まさやんのイメージカラーって青じゃん」

学園時代からの付き合いであるグループの中で、それぞれのイメージカラーがあった。
それはアイドルとなった今でも、6人で共演するときなどに使われている。

“何か青いもの”

目に見えないところに着けるのが一般的だが、彼以外に考えられなかった。
幸せになるためのおまじない。
真斗が欠けて叶うことなどありえない。

「イメージカラーは目に見えるものでもないから、いいかなと思いまして」
「ふふ、なんか素敵」

おばあ様の指輪をつけてくれてるのも嬉しい、と真衣は無邪気に笑う。
ネックレスにしている古い指輪がキラリと光り、真斗と真衣の祖母も祝っているよと言っているかのように思えた。

そろそろお時間です、とスタッフが呼びに来る。

「さて、サムシング・フォーを揃えに行きますか!」

冗談めかした友千香の言葉に、春歌はふわりと笑った。



幸せを呼ぶサムシング・ブルーの元へ



(ハル、必ず幸せにする。俺についてきてくれるか)
(はい、もちろんです)







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59900番キリリクで鈴様に捧げます!


2013/04/22
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