彼女の傍が好きな理由
春歌といるのが好きだ、と思う。
パートナーである、ということは置いておいて。
ただこの場合は性質というか、人間として、だ。
音楽だけに限らず、俺の言いたいこと、表現したいことを上手く汲み取ってくれて、話が膨らんだ時の高揚感といったらない。
音楽性、というよりも、全体的なフィーリングが合うんだろう。
落ち着く。だけど、それだけでもない。
見てて飽きない、目を離せないというのも多大な理由だ。
例えばさっきの昼休み。
ちょっと俺が教室を離れた隙に、レンとトキヤが春歌にちょっかい出していた。
あいつらに変な気があるわけじゃないことくらい知ってるし、別に春歌が誰かと話すのが嫌なわけでもない。
俺がいないとこで春歌が楽しそうにしてるのが、とんでもなく悔しいんだ。
春歌の笑顔を見逃したくない。
だからなるべく春歌から離れないようにしたい。
例えばふと気がついたとき、隣から鼻歌が聞こえることがある。
誰も知らない、でも俺の大好きな音楽。
春歌の紡ぐメロディは、どんな小さなものでも聞き逃したくなくて。
いつでも春歌の隣にいたら、逃すことなんてないだろう。
例えば今現在俺の腕が触れているのは、間違いなく春歌の肩。
油断をするとすぐ転びそうになる春歌を支えるためには、いつでも側にいなければならない。
華奢なその身体は簡単に受け止めることができて、俺は男で、こいつは女なんだと実感する瞬間でもある。
心臓が痛いくらい早く打ちはじめ、ああヤバいと感じるんだが、それすら心地好い。
だから君から離れられない
理由をあげだしたらキリがない。
2011/01/06