1%ギャップ



「これから私と一緒に勉強を頑張りましょうね!」
「勉強は大事なんだから、ちゃんとしなさい」
「卒業できないと困るでしょう」

とんだ甘ちゃんが来たモンだ。
教師なんてどれも同じことしか言わネェ。
勉強が大事、受験が大事。
あーツマンネー。
どうせコイツもそうだ。
同じこと言って、オレ様がちょーっとイタズラしてやったら逃げるに決まってる。
ちっとは芯が強そうだが、オレ様の遊びに耐えられる教師なんかいるわけねーンだ。
もしそんな奴がいたとしたら、そうだナァ、勉強くらいしてやってもいいかもナァ。
だがコイツにゃ無理ダロ。
もって夏までってトコか。
ククク、少しくらいはオレ様を楽しませろヨォ!



「とか思ってたナァ」
「……なんかもう予想通りすぎてコメントもできないわね」
「ンダヨ、お前が聞いてきたんだロォ?第一印象」
「そうだけど……もう少しオブラートに包むとかできないの?」
「ンなコトしてなんの得になんだヨ」
「少なくとも私の心に傷がつかないわ」





最初からそうだ。
いつでもニヤニヤ笑って、人の揚げ足取って、とんでもないイタズラばっかりして。
俗に悪戯小僧と呼ばれる子というのは、根は優しかったりするのがセオリーってものでしょう?
でも彼にはそれが見受けられなかった。
この世に悪魔っているんだと、何度も本気で思わされたものだ。
だけどナメられたままなんて嫌だった。
教師としての使命感?
それももちろんあったけれど、彼に負けたままじゃいられないと意地になっていたのかもしれない。
私が彼の根性を叩き直してやるのだ、と。



「……まあ基本的に変わることがなかったけどね」
「オレ様がンな簡単に変わるかよ」
「でも少し丸くなった……かしら?」
「さーてナァ」





何にせよ、最初と今とではお互いの印象が僅かながら変わったことに違いはない。
第一印象のままだったなら、今こうして二人で笑いあうことなどできなかっただろう。

きっと本当に些細なことで印象とは変わるもので、最悪だった彼、彼女が最愛の人になったのは、



たった1%のギャップ



それを見つけることができたから。







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41500番キリリクでのこ様に捧げます!


2010/06/17
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