ゆらゆらとまどろみ



「なァンでブチャがここにいンだァ?」
「……何でかしらね」



今二人がいるのはバカサイユ。
清春がなかなか補習に来ないものだから悠里は探しに来たのだ。
運良くバカサイユで見つけた彼は、ソファに横になってぐっすりと眠っていた。
あどけない寝顔が可愛くて、起こすことができない。
もうしばらく眺めていよう、そう思った悠里はすっかり忘れていたのだ。

「おや、可愛い僕のプリンセス。一緒に寝たいのかい?」
「!?き、ききききき清春君!!?」
「ほら、おいで」

いつの間にか開いていた眼はいつもの悪戯なものではなく、とても紳士で。
優しい声で囁かれると、すぐに腕を引かれてぎゅっと抱き締められた。
悠里が抱き枕になっている形となる。
抵抗するものの清春の力は強く、ますます抱き締める腕に力が加えられるだけだった。
これは間違いない。

「寝ぼけてるわね……」

再び眠りの世界に落ちてしまった清春を見つめながら、悠里は深く溜め息を吐いた。

そして冒頭に戻るのである。

悠里は未だに清春の腕の中。
がっしりと抱きとめられている。

「ンダァ?ブチャ、そんなに俺様と添い寝したかったンかァ?」
「そ、そんなわけないでしょ!」
「クククッ。何どもってやがンだ、バァカ」

逃げようとすればするほど清春の腕の力は強くなる。

「おいおい、逃げようとしてンなヨ」
「お、起きたんなら補習するわよ!」
「ねみーダリー」
「こら!寝るんじゃありません!」
「うるっせェなァ。ほォら、ブチャも寝よォゼ?」

ぎゅっと力を込められて、悠里はいよいよ逃げられなくなった。
清春の体温を直に感じるものだから、心臓がうるさく騒ぐ。
こんな状態にした張本人は安らかな寝息をたて始めていて、悠里は軽く睨んで溜め息を吐いた。

(こんなドキドキして、眠れるわけ、ないじゃない)

それでもやってくるのは穏やかな睡魔。



ゆらゆらと微睡み



(起きたら、絶対……補習するんだから……)







2008/06/15
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