結果オーライ!
「……なんだコリャ」
「何って、ケーキだけど?」
「そう、だよなァ……」
清春の目の前にあるそれは正しくケーキだった。
黒く艶のあるチョコレートがなんとも美味しそうに見える。
中の生地にもココアか何かが入っているのか、普通のスポンジよりも色が濃い。
間違いなくチョコレートケーキなそれは、清春の食欲をいとも簡単に掻き立てた。
しかしそれを素直に喜んでいいものか清春は悩む。
見た目は良い。香りも申し分ない。
だがそれを作ったのは悠里だ。
「なンで悠里が料理に成功してンだァ?」
「な、失礼ね!今まで失敗したことなんて数えるほどしかないわよ?」
嘘つけ!とひとまず怒鳴ってから、清春は再びケーキに目をやった。
おかしい。
まともすぎる。
「ほら、せっかく清春君のために作ったんだから。食べてみて?」
「お、おう……」
悠里の笑顔に背を押され、清春は喉をごくりと鳴らしてから一口頬張った。
その口に広がるのはチョコレートの味、ではない。
美味しい。確かに美味しいのだが。
「ンでイモの味がすンだよっ!」
「えぇ!?」
見た目はチョコレート、味はスイートポテトとはこれいかに。
なんて摩訶不思議。
恐るべし悠里の腕。
それでも美味しいし、悠里が愛情を込めて作ってくれたのはわかっているので、清春は少しも残さず綺麗に平らげた。
何だか変なプレゼントになってしまったけれど。
結果よければすべてよし!
「お誕生日おめでとう、清春君!」
―――――
間に合った清春はぴば!
2008/05/09