ミントガムのかおり



どこにいたって見つけだせるわ



「清春センパ〜イ!」
「ンゲッ……!」

向こうからぶんぶんと手を振って走ってくるのは、最近異様に自分に懐いている後輩の澪。
そして……

「見つけたわよ〜清春君!」

眉を逆八の字にしてできるだけ低い声を出す南悠里。清春の担任である。

「今日こそ補習を受けてもらいますからね!」
「そうはいくかヨっとォ!」

捕まるところを寸前で逃れ、清春は走りだす。
掴み損ねた悠里はバランスを崩し、澪はそれを支えた。

「山本さん、追って!」
「りょうか〜い」





「セ〜ンパイっ」
「またオメェかヨ!」
「邪険にしちゃやーよ!」

屋上でフェンスに寄り掛かっていた清春は澪の姿を認めるとあからさまに嫌な顔をした。

「ったくヨォ。いつの間にかブチャの手先になりやがって」
「しょうがないよ。私の清春センパイを見つける能力は誰もが頼りにするものだもん」
「やっかいな能力だぜ」

ウゲッとした顔で澪をマジマジと見つめる。

「だいたいなんでそんなにオレ様を見つけれンだよ?」
「愛の力だよ!」
「そーか、そんなに悪戯されてェンならしょうがねェ」

やる気満々に腕まくりをする清春(半袖だけど)に、それはさすがに嫌だなぁと澪は苦笑した。

「センパイ、いつもガム食べてるでしょ?私鼻いいから」

自分の好物が裏目にでたことに、清春はチッと舌打ちした。

「ンじゃあ、オメェも同じ匂いにしてやる!」


その言葉と同時に降ってきたのは、清春の唇の柔らかい感触と



ミントガムの爽やかな香り







2008/03/13
2010/07/19 修正
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