ノスタルジア



翼は母と二人で撮った写真を見つめていた。
優しく微笑む母と、無邪気に笑う幼い翼。(この時からすでに偉そうなのは、翼本人にとってどうでもいいことだ)
幸せだったあの時を想うと、自然と溜め息が出る。
それに反応したのか、悠里がこちらを向いた。

そう、今だって不幸ではない。
むしろ人生で一番幸せなのだ。

彼女がこんなに近くにいる。
手を伸ばせば簡単に触れることができる。
まわりにはB6のメンバーだっている。
ケンカをする時もあるけれど、彼らはいつも翼の心を救ってくれた。
父と話すにはまだ抵抗があるけれど、悠里のおかげで以前ほど気にならなくなった。

悠里と出会ってからか、B6の仲間に出会ってからか。
とにかく恐いくらい幸せだ。

それでも母は近くにいないのだ。
いくら幸せでも、たまに昔を思い出すと、どうしても。



さみしくない、なんてことはない



人間、次から次へとよくこんなに欲がでるもんだ。







2008/02/12
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