濡れ髪に漂う
目が覚めると、ひどく喉が渇いていた。
キッチンに行って冷蔵庫を開ける。
そこからミネラルウォーターを取り出すと、それを持って寝室へと戻った。
ベッドではまだ悠里が眠っている。
清春はニヤリと笑って、この冷たい水のボトルを悠里の頬につけてやろうと思ったが、あまりにあどけなく可愛らしい彼女の寝顔を見ると起こすのがもったいなくて、結局やめた。
かといって眠気が覚めてしまった清春は悠里が起きるまで暇を持て余す。
どうしようかと水を飲みながら考えていると、自分が汗をかいていることに気づき、シャワーを浴びることにした。
悠里の部屋ではあるが、勝手知ったる恋人の家である。
産まれたままの姿になり浴室へ入る。
蛇口を捻ると丁度良い温度の湯がでてきた。
今までべとべとしていた汗が流されて気持ちいい。
しばらくその感覚に浸っていると、目の端にシャンプーの容器が入ってきた。
明らかに女性が好んで使うようなもので、清春が普段絶対に使わないものであったが、今日は何故かそれに手が伸びていた。(隣に清春用のシャンプーがきちんと用意されているというのに)
ポンプを押して適量を手に出す。
その時点でふわりと甘い香。
自分には似合わない香だと思いながらも、悪くないとも思う。
そのまま髪を洗って湯で流し、体も洗って、手早く浴室をあとにした。
風呂から出てもまだ悠里は眠っている。
髪をタオルで拭きながらベッドに近づく。
悠里の寝顔に引き寄せられるように、その頬にキスをおとした。
その際に香ったのは悠里の髪からか、それとも自分の髪からか。
どちらでもよいのだが。
この濡れ髪に漂うのは、君と同じ甘い香
2008/02/06