何よりも深い愛を
「ねぇ一君。お願いがあるんだけど」
にっこりと笑う彼女は、それはもう大好きな猫にゃんにも負けないくらいメチャクチャ可愛かったけれど、それを見た一の本能は逃げろと叫んでいた。
「えーと、先生?それ拒否権は……」
「もちろん、ナシよ」
「……………」
「大丈夫!今回は自信作だから!」
「この間もそう言ってたじゃねーか!」
「じゃあ放課後よろしくね!」
「ちょ、おい!」
悠里の作ってきたお菓子を一が試食するのは、もはや恒例となっていた。
ただ食べると行動不能になるため、補習を先にすませてからにすることを学んだあたり、どうやら悠里も自分の腕を自覚したらしく、その点に関していえば一は安心していた。
朝こうして事前に言ってくれるから、放課後のために体力を残すことも、心の準備をすることも十分にできるのだ。
「……今日も生きて帰れますように」
この時ばかりは普段信じているわけでもない神にもすがる気になる。
そこまで思っていても一は残すことなど決してせず、綺麗にたいらげる。
愛する悠里の手料理を残すなど、言語道断。
そんな一の健気な姿は他のB6メンバーの涙さえ誘った。
彼女の料理を食べるには、
何よりも深い愛が必須です。
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相互記念で、きぃ様に捧げます!
2008/01/06