はにかみデビルのご降臨


「おい悠里。ひとつ聞きてェことがあンだけどよ」

いつものように悠里の部屋でゆっくりしていたとき、不意に清春が口を開いた。
何だろう、と悠里は首を傾げる。

「お前、今までオレ様以外の男と付き合ったことあンのか?」

それは本当に突然で。
しかし何でいまさら清春がそんなことを聞いてくるのか。
ふと彼の手元にある雑誌を覗くと『特集!女の子の恋愛経験実態調査』というページが開かれていた。

(これを見てたのね。清春くんでも気になるのかしら)
「おい、聞いてンのかァ?」
「え?あぁ聞いてるわよ。そうねぇ……一人、だけね」
「アァ?マジかよ、オレだけじゃなかったのか……」

なんとなくガッカリしている様子の清春を悠里は可愛いと思った。
こんな気持ちになるのは、清春が初めてだ。
それをどうしても清春に伝えたい。

「付き合うのは初めてじゃないけど、こんなにも愛しいと感じた人は清春くんが初めてよ」

その言葉を聞くなり清春の頬が急激に赤く染まった。
いつも甘いセリフをはいて悠里を真っ赤にさせている彼とは違った反応。

「バッ!……ホンット、オマエはよォ。オレ様をその気にさせる達人だなァ!」

口ではそういうものの、清春の表情は初々しいもので。



はにかみデビルが降臨されました



「ま、オレ様にとってもオマエは、唯一愛しいと思う女だぜェ」







2007/10/13
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