ばらいろに染められた、



隣には愛しい彼女がいて、その彼女は昨日ろくに寝ていないのだと言って翼に寄り掛かっていた。

「悠里、寝てもいいぞ」
「う、ん……」

それでもなかなか寝ようとしない悠里の頭を翼は優しく撫でてやった。
しばらくそうしていると、微かに聞こえる可愛らしい寝息。
翼はフッと微笑んだ。



「さすがに退屈になってきたな……」

数十分経ち、欠伸をしながら翼は呟いた。
気持ち良さそうに眠る悠里を起こしたくなくて、でもかまってほしいという気持ちもあるわけで。

「悠里……」

小さな声で呼んでみる。
もちろん起きるわけがない。

「悠里……I love you……forever……」

悠里の耳元でささやく。
たとえ聞こえていなくてもかまわない。
ただ悠里の幸せそうな寝顔を見て、一生愛したいと改めて思ったのだ。
どうしても今すぐ伝えたかった。

「愛してる、悠里……」

翼は悠里の耳にキスをおとし、悠里の顔を見た。
悠里の頬は赤く染まっている。
それに気づいた翼も同じように頬が染まった。

「起きている、のか?」

返事はない。かわりにだんだんと頬が赤くなっていく。
その様子がおかしくて、ククッと笑った翼は悠里に顔を近付けた。



ばらいろに染められた貴女の頬にくちづけ







2007/08/10
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