もっともっと、



「寒く、ありませんか?」
「寒いものか」

私の問いにはっきりと答え、肇さんの私を抱き締める腕に力が込められた。
その逞しい腕の中はホッと安心できて、とてもとても温かい。

「でも、雪降ってますよ?」
「そんなの気にならない。君は寒いのか?」
「いいえ、まったく」

そう言って私はぎゅっと肇さんの腰を抱いた。
ぴくりと反応した肇さんに、気づかれないように笑う。
きっと彼の顔は真っ赤に染まっているに違いない。
それは決して寒さのせいだけでなく……。

「こうしていると寒くないです」
「あぁ、俺もだ。でも……君のぬくもりをもっと感じたい」

少しかすれた肇さんの熱を帯びた声が、私の耳元で囁かれた。



もっともっと、互いのぬくもりを



感じて、感じさせて。







2007/11/10
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