捨てないで症候群



アレもソレもコレも、捨てちゃダメ。



「野村さん、これはどうします?」
「あー!それもダメ!捨てちゃダメだよ!」
「……………」

どこから拾ってくるのか、野村(と相馬)の部屋には使い道のわからない物がたくさんあった。(借金持ちなので買ったのではないはず)(というよりまず間違いなく売り物にはならないようなものばかり)
せっかく掃除をしていても、これらがあっては片付かない。
そう倫が言っても、野村はイヤイヤと首を横に振るばかり。

「……じゃあ、捨てていいものってあります?」

ため息をつきながら倫が聞くと、野村は部屋を見渡し、最後に倫を見てにかっと笑った。

「じゃあ、倫ちゃんの男に対する想いを」
「………はい?」
「あ、でも俺への愛だけは捨てないでよ?」

俺以外へ向ける想いも視線も、すべて捨てちゃいなよ。
そして俺だけを想って、見てくれよ。
俺への分だけは捨てないで。

「……なら、野村さんもですよ?」

私以外の女性への想いは全部捨てて、私への分だけ残してください。



捨てないで、ねぇ捨てないで



(なんだ、楽勝じゃん!)
(えぇ、楽勝ですね)







2008/01/08
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