きっとたぶんいつか惚れさせる
気づけば、倫のことを愛してしまっている自分がいた。
いつから、なんて具体的な時期はわからない。
ついこの間までは確かに可愛いげのない女としか思っていなかったはずなのに、今では彼女の何もかもが可愛くみえて仕方がない。
予想外だったのだ、倫を好きになるなんて。
自分は本来絹緒のような女性が好みだったはずなのに。
人の気持ちというのは本当にわからない。
さて、自分の気持ちに気づいたはいいものの、一つ問題があった。
『倫はオレのことを下の下だと思っている』
これだ。
まったくもって受け入れがたい評価である。
これでも経験はそれなりにあり、女性関係で困ったことなどほとんどない。(と言っておく)
しかし自分の性格が決して良いものではないことは自覚しており、前回のデートでそれを遺憾なく発揮してしまったことも事実である。
倫が呆れるのも無理ないだろう。
だがたった一回きりのデートで自分の何がわかるという。(この際普段の言動で陸奥という人間を知り尽くされていることは棚にあげておく)(それだってオレの全てというわけではない)
倫には今まで自分の悪いところしか見せていないのがいけなかった。(良い面をする必要がないと思っていたから)
これからは彼女に対する態度を改めなければならない。
そうすれば倫とて、自分のことを見直さずにはいられなくなるだろう。
実行できるかどうかは果たして不安だが。(だって急に優しくとか、無理だろ)
きっと、たぶん、いつか惚れさせてみせるさ
優しくしても、気味悪がられるのがオチだろうがな。
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≫確かに恋だった
2010/07/12