闇の中に吐息



「んっ」とか「あっ」とか、意味をなさない言葉が妙に色づいて倫の口から零れる。
たまらない気持ちが込み上げて、陸奥は彼女の耳たぶを食んだ。
柔らかく頼りない感触を楽しむ。

灯りはすべて消した。
しかし自然のものだけは消しようがなく、月の光だけが闇に包まれた陸奥の部屋を照らす。

「む、陸奥さ……ん、あ……」

わざと音をたてて耳を舐めると素直な反応が返ってくる。
それが愛しくてしかたがない。

「や、陸奥さん、やめ……」
「ちょっと黙ってろ、バカ」

一度顔を離し、倫を見つめる。
闇に映える白い肌、柔らかな頬には茜がさし、眼差しはとろんと蕩けていた。
赤く熟れた唇は陸奥を呼び、倫の姿のすべてが彼を誘う。

首筋を撫でるとピクリと肩が跳ね、反対側に唇をあてがい強めに吸うと、倫は陸奥の着物をきゅっと掴んだ。
彼女の行動のすべてが彼を誘う。

「倫、オマエはオレのもんだからな」

首筋についた赤い痕を舐めあげ、そのまま顎へといき、最後に下唇を舐める。
唇と唇が触れた瞬間、ぶるっと倫の体が震えた。
それを合図に陸奥はぬるりと舌を差し込み、倫のそれと絡める。
彼女のすべてが彼を誘う。

舌も唇も息すらも食べ尽くしてしまうかのような強引さと、これでもかというくらい求め合う愛しさがお互いを支配した。



闇の中で重なる吐息



もっと甘く、もっと切なく







2008/05/01
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