ティーカップになみなみと



程よく茶葉を蒸らしたら、お揃いのカップの七分目あたりまで注ぐ。
お砂糖をいつもより多めに。
それに加えて愛情をたっぷりと。

「陽之助さん。ティーが入ったので、そろそろ休憩にしませんか?」
「ん?ああ、そうだな」

陽之助さんはじっと書類を睨みつけていた顔を綻ばせ、ぐっと背伸びをした。
その姿には疲れが滲みでていて、そんな彼のために私ができることなど限られている。

「疲れているときには甘いものがいいそうなので、ティーを少し甘めにしてみました」
「お、さすが気が利くな倫。サンキュー」

陽之助さんは一口飲むと「うまい!」と笑った。
それが嬉しくて私も笑う。

「こぼさないように気をつけてくださいね?」
「ん?そんなにいっぱい入ってないし大丈夫だって」
「何を言ってるのです。入ってますよ」



私の愛情がなみなみと



(倫の愛情をオレがこぼすわけねえだろ!)







2008/01/22
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