たまに見せるソレ



女のくせに武芸に勤しみ、顔を合わせると口うるさく言ってくる。
可愛くない女。
それが陸奥の倫に対する印象だった。

だがいつからだろう、それが一変したのは。
気づいたら倫のことが愛しくてしょうがなくなっていて。
花柳館に通うのだって、今ではほぼ彼女に逢うためだ。

「あ、陸奥さん!道場で寝ないでくださいっていつも言ってるじゃないですか」
「あん?うるせーなぁ」

口うるさいのは相変わらずだが、それすらも愛しくて。
かまってほしいから、ついつい反発もしてしまう。
我ながらガキだと思うが、そんな簡単に変えれる性格でもない。

「もう。私の部屋、つかっていいですから」

そう、たまに優しさを見せるから、それに甘えてしまっているのかもしれない。

「お、悪ぃな。じゃあつかわせてもらうぜ」
「あ、陸奥さん」
「あ?」
「後でお茶でもお持ちしますね」

そしてふわりと笑う。

「お、おう。頼む」

陸奥は顔を赤く染め、足早に倫の部屋へとむかった。



たまに見せるその笑顔に



どうしようもなくひかれるのだ。







2008/01/16
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -