「お疲れ様。ありがとう」

コトネのモンスターボールの中に今し方倒れたデンリュウが戻っていく。ようやく一匹。まだ気を抜くわけにはいかない。
バトルは三対三で互いに残りは二匹ずつ。しかしオレの方は全て一度出して引っ込めた奴らだが、コトネはここまであのデンリュウ一匹だけ。

「凄いね、ソウル」
「お前に勝ちに来てるんだから当然だろ?」
「ああ。そうだったね」

コトネは会話しながら次のモンスターボールを構える。表情からバトルを楽しんでいると分かるコトネ。負ける可能性なんて微塵も考えていないんだろう。
バトルが展開していくに従って、ほとんどのトレーナーは多少なりとも態度に変化を見せる。(元チャンピオンのレッドは例外らしいが。)例えばオレは以前コトネに「追い込まれると焦るのが悪い癖」と指摘されたことがあった。そしてコトネにもその変化はある。多分もうそろそろ、来る。

「……でも私、負けないよ?」

まだ笑顔を浮かべていることからバトルが楽しいのは変わらないのだろう。ただその言葉を境に一気に空気が冷たくなる。そして初めて対戦するトレーナーなら確実に萎縮してしまうであろう威圧感。何度手合わせしようともこの感覚に慣れることはなかった。
しかもこうなったコトネは、いつもより慎重で冷静で頭がきれるようになる。これがチャンピオンか、と力の差を思い知らされそうになるが、負けたくねぇのはオレだって同じだ。

「バクフーン、よろしく!」

モンスターボールは高く上がる。コトネの自慢の相棒のお出ましに、オレは気を引き締め直した。



本番はここから


end.





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