title by DOGOD69
(Nが弱気。ホワイトもちょっとだけ変)





「ずるい」

彼は、Nは私をよくこう称する。いくつか理由はあるらしいのだけど、聞いてみればなんてことはないただの責任転嫁であることが多い。

ゲーチスの言葉を肯定するつもりはないけれど、Nには何かが足りないと感じることがある。だけどそれが具体的に何なのかは分からない。
私がもう少し敏感でもう少し国語力があったなら、その正体を突き止めることが出来たかもしれないのだけど。

「ホワイト。……ごめん」

あとNが私に謝ることも多い。それも心の底から。私に怪我をさせたとか傷付けたとかそういう類じゃない謝罪。

「好きになって、ごめん」
「うん」
「好きでいて、ごめん」
「……うん」

半分外にさらした状態の肩に他人の体温と重さを感じて、私は現実に引き戻された。
抱き合うような形で彼の大きな手が両腕を掴み、肩に乗った頭からはずっしりとした重さが伝わる。肌に触れる緑が少しこそばゆい。
顔の整った長身の青年が平均的な体型の少女にもたれ掛かっている。この光景を他人が見れば、一体何と思うのだろうか。

「ごめ、ん。好きで……いて」
「うん。いいよ」

徐々に彼の声はかすれた上擦ったものに変わっていく。手に腕に込められた力が増していく。耳に直接注ぎ込まれる素直な声に、私はただ頷くだけだった。

大きな天才児。彼のことをそういう風に考えている。育ち方や境遇が大きな原因なんだろう。
普段は論理的な彼が、時々子供のようになることがある。そうなってしまったとき、いつも私は子をあやす母親のように振る舞っている。

「N。好きだよ」

そうして私は小さな頭をそっと撫でた。できるだけ優しく、純粋な愛以外の感情もしっかりと籠めて。

「あり、がとう……」

返事と共に、Nの手や腕の力が強くなっていく。だんだんきつく、最終的には苦しいくらいに。今、彼はどんな顔をしてるんだろう。
重苦しい感情に振り回されているその顔を想像して、一人嬉しくなってしまう私がいた。



心地良い程の欠落感
(無償の愛とは程遠い)






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