あの日から三日間は、何をしていてもどこか上の空だった。重要な仕事が入っていなくて本当に良かったと思う。
私はどうするべきか。ソウルの言葉をどう受け止めるべきか。いくら考えても答えは出ないまま、ふと気づく。
私はどうしてこんなに悩んでいるんだろう。この疑問を抱いたことで、景色は一変した。

―――――――

久しぶりと言うべきか迷って、たかが一週間強だと思い直した。前に会ったときより、どこかさっぱりとした印象を受けたが、髪型は同じまま短くなっていたせいかもしれない。
いつもなら世間話をしてからバトルという流れなのに、コトネは俺に近づき、直ぐさまモンスターボールを構えた。

「私は全力を出し切ります。だからレッドさんも」
「俺?」
「はい。本気で、お願いします」
「……」

知らず知らずの内に手を抜いていたのは、お互い様だったらしい。チャンピオンと元チャンピオンが二人して何をしているのか。情けないですよね。コトネの言葉に俺は頷いた。

「負けたら悔しがって」
「じゃあ勝ったら喜んで下さい」
「でも負けるつもりで来ないでね」
「当然です!」

生き生きしたコトネを見たのも、勝って嬉しいのも、間違いを酷く悔いたのも、とても久しぶりのことだった。

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