(独白)


現チャンピオンのコトネは言ってみれば、自分の後輩に当たるわけだ。
バトルが大好きで、喜怒哀楽が豊かで、負けず嫌いで。そんな彼女に昔の自分たちの姿を幾度か重ねた。前チャンピオンである先輩として、コトネを可愛がっているつもりだった。

しかしコトネは俺に対して、尊敬を通り越した並々ならぬ愛情を向けてくるようになる。ただの自惚れなら良かったのが、生憎俺はそこまで鈍感じゃなかった。
そして問題が生じる。自覚してないだろうけど、最近のバトルは彼女の全力じゃない。その原因が具体的に何なのかは分からないが、良い方向に進んでいるとはとても思えなかった。
だからと言って俺は、そんなコトネに応えることも拒絶することも出来ないまま、時だけが過ぎていく。

コトネを後輩以上の存在として見ることは出来ない。俺は早い内に、そう結論を出した。けれど彼女の想いに気付かぬふりをするのは、俺にもバカバカしい理由があるからだ。
負けても意気消沈することなく何度でも挑んでくる存在を、俺は欲していた。そしてコトネは俺から愛されることだけを望んでいる。恐らく互いにこのままでは駄目だ、と気づいてはいるのだが。

共依存。今の俺とコトネの関係を表すのに、これ以上の言葉があるだろうか。


い意図

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