08/26(05:05)

某王道学園生徒会。例に漏れず人気投票というふざけた、だけど俺からすれば非常においしい方法で生徒会メンバーは選出されている。今期は俺様会長、敬語副会長、緩い会計、無口書記、双子庶務というテンプレート通りのラインナップに心踊らせた。そんな時期もあったなあ、と思いながら俺は手元のコーヒーをすするのだった。

「ちゃんと働いて下さい」
「痛え!」

生徒会室には、会長の頭にハリセンがクリーンヒットした音が響いた。お、いつもより当たりどころが良さそう。容姿に似合わぬアイテムを手に叱りつける副会長と、頭を押さえながら睨む会長。どっちの悪いかなんて明白で。

「遊ぶなら仕事をやってから。いつも言ってるでしょう?」
「ただの休憩だよ、いちいちうるせぇな」
「貴方は休憩が長過ぎるんです」

行われてるのはいつも通りのやり取り。俺様会長の仕事っぷりは優秀そのものなのだが、如何せん取り掛かるまでに時間がかかる。はっきり言えば精神年齢が低いのだ。生徒会のまとめ役の副会長が専ら被害者だが、彼をフォローする者がいないわけではない。

「副会長の言うとおりだよ、会長ぉ。仕事はちゃんとやらないと、ね?」

パソコンから目を離し会長をたしなめたのは、その緩さが売りの会計。でも彼が緩いのは喋り方と見た目だけなのは、近しい者ならみんな知っている。その証拠に、会長が言い返さないのを確認すると、会計の手は再びキーボードを叩き出した。ところで会計進行具合はどうですか?ううんと、もうすぐ終わるよぉ。頼もしい二人の会話の中、次はいくつかの書類を手にした書記が会長の元へと向かう。

「……しないと、駄目」
「ああもう、分かったよ……というか書記!これお前の分の書類だろ!」
「チッ」
「舌打ちすんな。バレるに決まってんだろうが、ばーか」

一見無害そうな書記は、結構面倒くさがりだ。口数が少ないのも喋るのが億劫だからじゃないかと思ってしまう程。少なくとも会長の書類の中に紛れ込ませるという荒技を使ったのは、それ以上の手間を掛けるのが面倒だったからだろうなと思う。ある意味生徒会一の問題児な彼を、双子庶務の兄が睨みつけた。

「……ばっかじゃないの?」

下らない。本心からの言葉のように聞こえるそれに、書記は足を止めた。

「やっぱり?」

普段は表情の変化に乏しい人気投票四位の書記。いくら面倒くさがりとはいえ、男前の彼が突然悪戯っ子のような笑みを浮かべれば、その威力はなかなかのもの。

「ば、馬鹿じゃないの!ねえ!?」

双子庶務兄は顔を逸らすと、大声で隣に座ってる双子の弟に同意を求めた。そう言われましても。あ、ちなみに俺がその弟です。

「顔、赤いけど……大丈夫?」
「書記に心配なんてされたくないよ!」

俺にはいちゃついてるようにしか見えないんだけどなあ。作業中の手を止め辺りを見やると、とっくに席に座っていたらしい副会長と、終わる気配を見せかけている会計。これはもう直ぐ休憩かもと思えば、仕事も俄然やる気になる。思った通りの生徒会じゃなかったけど、これはこれで悪くないなあなんて。
そんな感じで上手く纏めようとしてるんだから。資料を紙飛行機にして飛ばさないで下さい、会長。



会長→幼稚な俺様
副会長→被害者、まともな人
会計→あんまりチャラくない、まともな人その2
書記→面倒くさがり
庶務兄→ツンデレ
庶務弟→オタク?

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