「好きだ!文次郎!…なんかありきたりだな…もっとこう…」
「俺がS極だとしたらお前はN極!」
部屋で骨格標本のこーちゃんを見つめ、何やら叫んでいる留三郎を横目で見ながら仙蔵は口を開いた。
「…おい伊作、お前の同室は一体何をしているんだ?」
「あー…文次郎への告白の練習らしいよ?」
その言葉を聞いた瞬間仙蔵は目を見開きあり得ん…と呟いた。
「そうだよね、あの2人はどう考えてもS極とS極だよね。」
「そうじゃない!うちの文次郎があんなに不健康そうで骨ばってるわけないだろう!」
「君も何を言ってるの。」
どうやら頭がやられているのは留三郎だけではないらしいと伊作は確信した。
「おい仙蔵…うちの文次郎ってどういう意味だ!」
さっきの仙蔵の台詞に反応した留三郎が突然会話に割り込んできた。
「そのままの意味に決まっているだろう!うちの文次郎はお前なんかにはやらん!」
「お前にそんなこと言われる筋合いねぇだろ!」
そう留三郎が叫ぶと、仙蔵は口の端を持ち上げた。
「告白の時に毎回毎回噛んで、文次郎に告白だとわかってもらえない奴にそう言って何が悪い?」
「今日はちゃんと言うって決めてんだよ!」
「何をだ?」
突如後ろから聞こえてきた声に全員動きを止めた。
「もももも文次郎!」
「?…おう」
「今から、大事な話をするから聞いてくれ!」
「いや、どうせお前噛むから…」
「今日は噛まずに言うから!」
その後、留三郎の噛まずに言えた告白に真っ赤になった文次郎がいたとか。
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なんだこれ