||| plus alpha ガツン、と鈍い打撃音がその場に響き渡る。 殴られた本人は少しばかりふらつくが踏みとどまり膝を着くなどという行為を許さない。 「おいおい文次郎大丈夫かよ」 「はは、何なら私が代わってやろうか!」 仲間からの野次が飛ぶが文次郎と呼ばれたこの男はふん、と鼻を鳴らすと仲間、留三郎と小平太に向かって口角を上げつつ大声で返す。 「うるせえよ!!これは俺が売られた喧嘩だ、お前ら手ぇ出すんじゃねえぞ!」 その言葉に文次郎同様凶暴な笑みを浮かべ、彼らは言う。 「お前ならそう言うと思ったぜ」 「まあ安心しろ!!もしも負けたらその時は」 お前の仇はしっかりとってやるから、明快な、だがしかし同時に暴力的な台詞がその場を支配する。 一触即発だった空気を場にそぐわない笑い声が打ち破る。 何がおかしいのか文次郎はひとしきり笑った後息を整え、再び凶暴な笑みを浮かべる。 「俺が負けるなんざ、そんな情けねえ姿見せるわけねえだろ」 そう言ってのけ、先ほど殴られた時に口の中が切れたのだろう、溜まった血を吐き捨て正面を睨む。 乱れた前髪の間から覗く眼光は鋭く獣のようにギラついている。 苛烈、その一言に尽きる文次郎の瞳を目の当たりにして喧嘩を売ってきた不良達はたじろぎ怯む。 この喧嘩、勝ったと勝利を確信しつつ文次郎は地を蹴った。 Nov 28, 2013 09:56 browser-back please. |