記録 | ナノ


▼03/07


(油断するべからず)


 屋敷の周りを回遊する、そんな些細な散歩が花の日課となりつつあった。
 屋敷の主は天下を取ろうという人間、屋敷もそれに見合ったものでそれなりに広く、道を変えれば毎日が新しいことが見える。繰り返しではない日々が今の花にとっての幸せだ。またそんな花を見ていることが孟徳にとっては心が休まる瞬間であった。
 そして今日も彼女は廊下に沿うように歩いていた。
「楽しそうだね、花ちゃん」
「孟徳さん、」
 孟徳は声をかけ、隣に並び歩く。
「お仕事、大丈夫なんですか?」
「少しぐらいなら平気だよ」
 本当ですかと疑わしげに苦笑する花に孟徳は微笑む。
「大丈夫だよ。文若に怒られるのも計算に入ってる」
「それって、いいんですか……?」
「いいの。花ちゃんは気にしなくて大丈夫だよ、ね?」
 そう言い、肩を抱く。花はいいのかと戸惑いながらも孟徳に身を委ねた。

END.



 肩を抱く手はまるで行き先を促すように優しく押しやる。
「あの、」
「ん?」
「どこに向かってるんですか?」
「どこだろうね」
 目的地は秘密、そう言うような優しい目に花は口を噤む。
 この人はどこか連れて行きたい場所があるのだ。本音は口にせず遠回しに目的を伝える、不器用なのか器用なのか、どちらとも取れる彼の微笑みに花は眩しそうに目を細めた。


END.




 短いし、イマイチうまくいかなかったのでとりあえずこっちに投下してみる(落ち着いたらひっそりとどっかに移します←)本当はもう少し先まで考えてたんですが、頭回らずこんな結果に。許して……!←










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