ど、どないしよう……。
難波の地下街。
ファンシー雑貨を置いとる如何にも女子向けな店ん前。
ホワイトデーになずなへ渡すモンを選ぼうとやってきたはええものの、店内の雰囲気に早くも戦意喪失しそうや。
せやけど、明日はそのイベントの日。
何もお返しあれへんなんて事態になったら、なずなが悲しむやろ。
自分を叱咤して、店内へ一歩足を踏み入れる。
「いらっしゃいませー」
にこやかな営業スマイルのおねーさん方の視線を避けつつ、奥の方へ。
マグカップやポーチ、アクセサリー。
紅茶のセットやアロマ。
女の子が好きそうなモンがぎょうさん並んどる。
ちゅうかぎょうさんありすぎて、何を選んだらええんか、よう分からん。
あぁー、ホンマどないしよ。
こんなんやったら日が暮れてまう。
「あ」
頭を抱え、視線を動かせば、目に留まる淡いオレンジのハート。
「ギフトセット?」
手にとってみると、それはハート型のボディーソープで、同系色のボトルに入ったフレグランスとペアになっとる。
こういうモンでもええんやろか。
ふんわりとした感じがなずなのイメージにしっくりはまる。……よし。
意を決してレジに向かう。
どうか、なずなが喜んでくれますように。
その願いが叶い、彼女の笑顔が見れるまで、あと24時間。
- 3 -
[
≪|≫]