「ひー君、ひー君」

皆様明けましておめでとうございます。
年明けの今日、お天道様も真上に近なってきたっちゅうのに、お隣りさんちのひー君は、まだ布団の中。
お邪魔した際に、「ウチら今から出掛けるから、代わりに起こしたって」とひー君のオカンに頼まれて、さっきから揺すっとるんやけど、一向に起きてくれへん。

「ひー君、なぁ起きてって」
「ん……、」

少し強めに揺さ振れば、さすがに気づいたんか、丁寧に整えられた眉が寄る。

「ひー君、もうじきお昼やで」
「うっさい……」
「うっさいやのうて、起きてっ、て、わっ!?」

まだ寝ようとするひー君を、更に揺すり起こそうとしたら急に腕を引っ張られた。

「正月なんやから寝かせろや……、アホ日和」
「わっ、わかった、から、離して……っ」
「んー……、」
「んー、やのうてっ、離してってばっ!ひー君っ!」

バタバタともがくも、がっちりホールドされてて抜け出せない。
しかも当の本人はすぐに夢の中。

「なぁひー君……」

呼びかけに返されるんは、微かな寝息だけ。

あかん。
ほんまに寝入ってしもた。

しかも寝とんのに、ウチが抜け出せへんくらい力強いってなしてやねん。

「ひー君ってば……」

何度も呼ぶも、全く目を開ける気配のないひー君。

まさかウチ、ひー君起きるまでこのまんま!?

ベッドの上。
ひー君の腕ん中。

端からみたら、アレな状況に見えなくもなく。
色々とまずい。

「ほんま、ひー君起きてーなっ!」

ウチの必死の願いは、虚しくも部屋の空気に溶けて行った。



数十分後
(で、なして日和は俺のベッドん中におるん?)
(ひー君が引っ張り込んだんよっ!?)



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