私達の出会いは最悪だった。私の元彼は浮気をしていて、その浮気相手がリカだった。友達と買い物の途中に、元彼とリカのデート現場を目撃、その場で私とリカは喧嘩になった。しかし結局悪いのは全部元彼ってことで和解して、元彼に散々文句を言って別れて、それから私とリカは仲良くなった。出会いがアレだっただけに、言いたいことはズバズバ言い合える仲。それに私もリカも、サッカーが好きだった。そこでも話が合って、一緒にサッカーのチームを作ったりして。リカが雷門中について行くことになった時にも、私も一緒に行くと決めた。しかしキャラバンに乗ってからのリカは、一之瀬くんにべったりだ。まあ、わかっていたといえば、わかっていたことなのだけれど。キャラバンの仲間とも仲良くなったし、リカの恋を応援したいのはもちろんだ、けれど、やっぱり少し寂しい。悔しい。

「ねえリカ、私と一之瀬くんが死にそうだったらどっち助ける?」
「なんやねんその質問」
「なんとなく」
「そんなん、ダーリンやダーリン!アンタは鬼道にでも助けてもらい!」
「なんでそこで鬼道くんなのよ」

だってアンタ、ああいうクールなの好きそうやん?と笑顔のリカに、私も笑った。でも、心はもやもやしたまんま、むしろもやもやは一層大きくなっていた。別に、リカの一番でありたいわけではない。恋と友情は当然別物だ。わかってるのに、この気持ちは、一体なんなの。



エイリアとの戦いで選手達がボロボロにされたのは、その話をした日から随分後だった。ベンチで控え選手として待機していたリカやメガネくんは無事だったけれど、フィールドでプレイしていた私達はほとんどが病院に運び込まれた。意識が戻った時に、一番に私の耳に飛び込んだのは、私の名前を呼ぶリカの声だった。

「…リカ?」
「あ!気がついた!」

私の手をギュッと握って、リカが叫んだ。手はポカポカしている。ずっと握っていてくれたのだろうか。私の病室には、リカ以外に人影は見当たらなかった。

「…みんなは?」
「みんな無事や、目ぇ覚ますんはアンタが一番最後やで」
「一之瀬くん、は」

ぽつりと私が呟いた言葉に、リカは一瞬きょとんとしてから、笑った。

「ダーリンは強いから、ウチがおらんでもすぐに元気なる。でもアンタは、強がってるけど本当は脆いって、ウチ知ってるで」
「リカ…」
「アンタは、ウチがついとったらな、駄目やもんな!」

リカの笑顔に泣きそうになった。

「うん、ありがとう、これからも側にいてね」
「なんや改まって、恥ずかしいわ。当たり前やろ!」

リカは握っていた手を放すと、私のおでこを軽く叩いた。それから立ち上がると、軽く私の布団を整えてくれる。

「ウチ、監督呼んでくるから、ちょっと待っててな」
「ありがと」

上半身を起こしながら、出ていくリカに手を振る。扉がパタンと控え目な音を立てて閉まった。と、思ったら、すぐに再び扉が開いて、リカが顔だけ出した。

「男は一瞬かもしれへんけど、女の友情は一生やで!」

ぱちん、とリカがウインクした。それからまたすぐに扉は閉まってしまったので、とうとう堪えきれずに私が泣いたことを、リカは知らない。


ありがと
    ら
    べ
    り
    か

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