午前一時。吐いた息が白くなるこの季節の真夜中に、私と銀時は空を見ていた。屋根の上で好きな人と二人、冬の星空を見るなんてロマンチックじゃあないか。まあ提案したのは私で、銀時は横でカクンカクンと眠りかけているけれど。このさっむい中よく寝れるよ、全く。私は銀時のすねに踵落としを食らわせた。

「いって!何すんだよ」
「寝てるからでしょ。それよりさぁ、私いいこと思い付いた。あの星の名前は銀時星にしようよ」
「はァ?」
「そんで新婚旅行は銀時星に行こうよ。未開の惑星、銀時星」

銀時はようやく、私の指を辿って、銀時星を見上げた。輝いている一等星の横で控え目に、でもきれいな白銀に光っているのが銀時星だ。

「銀時星ずいぶん地味じゃねェか、オイ」
「だって一等星には名前ついてるし。ちょっと地味なくらいが銀時にはちょうどいいでしょ」

私が言うと、銀時はブツブツ言いながら、また空を見上げた。もっと地味なやつを見付けて、私の名前付けてくれるらしい。私はしばらく、銀時が目を細くして地味な星を探しているのをみていたけど、だんだん飽きて、一人で勝手に銀時星の話を進めた。

「銀時星にはさ、花が咲いてなさそうだよね。雑草がいっぱい」
「失礼じゃね?銀時星にも花は咲いてるっつーの。お前と言う花が」
「キモい」
「ひでェェ!」
「でもまあ仮に銀時星に私の名前の花が咲いてたとしたら、神楽ちゃんとか新八くんは何かなぁ」
「…あの隣の星とかじゃねーの、神楽星と新八星」

銀時は、銀時星の近くの弱々しい光を指差した。

「ええー、新八くんはメガネとか言うかと思った」
「銀時星には俺とお前だけでいいんだよ」
「そう?」
「そう、そんで十分」
「そっか」

銀時はごろんと屋根に寝転がった。私もその横に寝転がる。厚着していても、屋根瓦の冷たさを感じて、一度ギュッと目を閉じる。

「…あ」
「何だよ」
「目を離したら、銀時星どれかわかんなくなっちゃった」
「お前なァ…あの辺だろ」
「えー?わかんない。光弱かったし、もしかしたら消えちゃったのかもね」
「まァ、いいだろ。本物の銀さんがいるんだから」

銀時は起き上がって、私のことを腕の中におさめた。確かに、銀時星には手を伸ばしても届かないから、こっちの手が届いて触ったり抱きついたりできる銀時がいれば十分だ。暗い夜の闇の中で、銀時の銀髪が星明かりにきらきらして、綺麗だった。















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