部屋を出ると、一階建ての部屋がずーっと続いていた。長屋、ってやつかな。さっきのライゾウの南蛮という表現や、この長屋みたいな造りや、あと今まで気にしなかったけれどみんなの服装なんかを見ると、なんだか資料で見る、昔の日本みたいだ。日本には何度か家族で行ったけれど、普通にビルが立ち並んでいるような国だった。こういう、歴史保護地区みたいな場所もあるのかしら?そんなことを考えていたら、先頭のライゾウが止まった。ナカザイケ先輩の部屋に着いたらしい。

「先輩、これ何て書いてあるか読めますか?」

ライゾウが紙をナカザイケ先輩に見せながら、聞いた。するとナカザイケ先輩は、ぼそぼそっと小さな声で何か言った。聞き取れなかったので、ちらっとハチを見ると、ハチはライゾウを見ていた。ハチも聞こえなかったのかな、と思っていたら、ライゾウが大きな声を出した。

「ええー?!」
「え、先輩なんだって?」
「さっ三郎、これ"私は人間です"って意味らしいよ!」

ナカザイケ先輩、正解!一応英語が読める人がいて、わたしは少し安心した。そしてやっぱり、聞き取れていたのはライゾウだけだったみたいだ。ライゾウはナカザイケ先輩にお礼を言うと、後ろの方にいたわたしのところまで歩いてきた。

「君は人間なの?」

わたしは首を縦に振った。

「いやいや、さすがにそれは信じられないだろ」

さっきからサブロウは否定ばっかりしてくる。わたしは、人間に戻った姿をこいつに見せてやりたい、と思った。

「…とにかく、もう一回部屋に戻って考えよう」

ライゾウは、サブロウを見て苦笑いすると、再び部屋に向かった。わたしも、もう少し筆談でいろいろ伝えなきゃいけない。いちいちナカザイケ先輩の部屋に行くのは面倒だから、今度は日本語で書こう。


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