「お?なまえ?」
「なまえちゃん?」

庄左ヱ門くんに連れてきてもらった学級委員長委員会の教室には、見慣れた顔が二つ。

「にゃあ、にゃーん」
「そうか、今日は学級委員長委員会を見学に来たのか。いい選択をしたな」
「そうだね、正直委員会の時間の活動がすごい楽なのは否定できない」

三郎と勘ちゃんが笑って、つられて笑った。それから、三人の他にもう一人、一年生の制服を着た男の子がいたので、その子に向かって初めまして、と鳴く。

「あ、はじめまして、なまえさん」
「そうか、なまえは初めてだったか」
「ぼくは今福彦四郎といいます」
「彦四郎は一年い組なんですよ」

一年い組の彦四郎くん。よし、覚えた!

「自己紹介も済んだとこで、今日の活動なんだけど…」
「特にないので、お茶にしよう」
「にゃ?!」
「最近、学園長先生の思いつきの行事もないですからね」
「普段が大変な委員会だから、活動はこんな感じでいいのさ」

棚からお煎餅とお茶を出してくる庄左ヱ門くん。思った以上の楽さだ。

「ちなみにな、なまえ。この煎餅とお茶の代金は、学園長先生が計上したので、経費から出ているんだ。だからお前も遠慮せずにおあがり」

にいっと笑ってわたしにお煎餅をくれる三郎。飽きれたことと思ったけど、大人しくもらっておく。と、視線を感じて顔を上げると、勘ちゃんと目が合った。

「そういえば…タソガレドキ城、また戦の準備をしているみたいって噂を聞いたよ」

どうやら勘ちゃん、わたしではなくわたしのリボンを見ていたらしい。それで、タソガレドキのことを思い出したのか…って言うか、戦?!

「またか…」

三郎もふうとため息をつく。聞けば、タソガレドキ城は戦好きで有名なお城なんだとか。一年生の二人も知っていたので、かなり有名なことなんだろう。戦って、つまり戦争よね?そんなに気軽にできることなのかな?そして、それよりも…

「にゃん、にゃん」

戦なんかするのなら、もうしばらく忍術学園にはこなさそうじゃない。わたしのリボン、いつ返しにくるの?

「さあなぁ…タソガレドキの忍組頭は、何考えてるか全然わからないからな」

確かにとっても不思議な人だった。不気味とも、言う。

「あ、そういえば、なまえさん。明日の午前中は、みんなで町まで出て実習なんですよ」
「にゃあん?」
「なんだ、寝てたのか?先生の話は聞けよ、なまえ」

三郎に笑われ、頭をグリグリされる。わたしが、午前中、どれだけ大変な目にあっていたかも知らず、こいつは。ツンと顔をそらせば、冗談だよ怒るなよ、と三郎が機嫌取りをしてきた。そのままツンとしていたけど、喉の下を撫でられたら耐えきれずふにゃんとしてしまって、にっこりした三郎にちょっと悔しくなったのだった。


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