「おーい、ネコ!大丈夫か!?」
「あ、今動かなかった?」

そんな声が聞こえて、目が覚めた。そっと目を開けると、男の子の顔の、どアップ。思わずビクッとしてしまった。でも、その大きさの感覚からして、今わたしはネコの状態みたいだ。ネコの動物もどき、アニメーガスになれるようになって、もう結構経ったので、この感覚にも慣れてきた。

「ハチ、驚かすなよ」
「え、驚いたか?ごめんなー、ネコ」

最初にどアップだった人が、わたしを抱き上げて、膝に乗せて、わたしの顔を覗き込んだ。この人は、ハチというらしい。それと、驚いたことがひとつ。ここにいる人達は、みんな日本語を話している、ようだった。わたしは、パパが日本人だったから、一応日本語を聞き取ったり話したりはできるし、書き取りもひらがなとカタカナまでなら、なんとかできる。けど、ママはイギリス人だし、住んでいたのはずっとイギリスだし、ここ数年はホグワーツという、日本語に全く縁のない場所で暮らしていたので、少しあやふやだ。でも、今彼らが何て話しているのかくらいは、わかった。

「ネコ?大丈夫か?」
「…、にゃあ!」
「お、鳴いた鳴いた!」

ハチが心配そうに聞いてきたので、返事を返すと、ハチは嬉しそうに笑って、わたしの頭を撫でた。人に戻れば同じくらいの年だろうから、これは少し、恥ずかしい。わたしはハチの膝から飛び降りて、人に戻ろうとした。

「…?」
「どうした?」

またハチが、聞いてきた。でも今度は、答えている余裕がなかった。どうして、人間に戻れない!感覚は覚えているのだ。ホグワーツでは、しょっちゅうネコになっていたのだし。でも、戻らない、のだ!


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