「ねえ、みんな!僕ちょっと面白い悪戯を思いついたんだよね!」
「ほんと?どんなの?ジェームズの考える悪戯は毎回本当に質が悪いけど、そのジェームズが面白いっていうなら、かなりのものなんだろううね」
「ハハハ、なまえ、それって褒めてるつもりかな?」
「もちろん!」
グリフィンドール寮の談話室。就寝時間ギリギリの人がほとんどいないそこで、わたし達は集まっていた。わたし達というのは、ジェームズ、シリウス、リーマス、ピーター、それからわたしのこと。悪戯が大好きなわたし達は、暇があるとこうして集まっては、悪戯の計画を立てるのだ。
「ジャーン!これを使うんだ」
「…なんだよ、そのキモい色の液体…」
「え?おいしそうなチョコレート色じゃないか、シリウス」
「お前は茶色ならなんでもチョコレートかよ」
「まあね!けどさすがにウン」
「ストップね、リーマス」
下品な流れに行く前に、ピーターがさりげなく軌道修正をした。
「…で、この薬なんだけど、今日の魔法薬の授業中にコッソリ作ったやつなんだよね」
「何の薬?」
「フフフ…それを言ったらつまらないじゃないか。ってことでなまえ、飲んでみてよ」
「なっ、なんで指名!ジャンケンとかあるじゃん!ていうかジェームズが飲んでよ」
「ジャンケンって言っても、リーマスは飲んでも効果ないっていうか、僕が飲んでも面白くないっていうか、不味いだけっていうか」
「不味いのか!でもそれなら、シリウスやピーターでもいいってことじゃない」
「えー、でも僕最初になまえに褒められたのスッゴク嬉しかったから、ぜひなまえに試してほしーなあ」
ちくしょう。ジェームズは根に持つタイプだったのね。シリウスをちら、と見れば、冷や汗をかきつつも、俺セーフ!って顔をしていた。ピーターは目を合わせようとしない。お、男なら助けてよ!
「でもリーマスには効果がないって、どういうこと?」
「それはねピーター、天才には効かないって意味だよ」
リーマスの言葉に反論したかったけれど、文句なしに頭のいいリーマスに、返す言葉なんかない。聞いたピーターも、苦笑いしていた。
「さ、飲んでみてよなまえ!次の悪戯の成功の為にも!」
「そうだぞなまえ、俺達を助けると思って!」
そういうジェームズとシリウスの頭を、一回ずつ叩くと、わたしはジェームズの薬のビンを受け取った。
「なまえ…大丈夫?」
心配そうなピーターに、ぎこちない笑顔を向ける。
「女は度胸、って言葉が日本にあるって、パパが言ってたの」
そう言ってからビンを睨み付けると、わたしは中身を一気に飲み込んだ。うわあ、不味い。前にやったポリジュース薬も不味かったけれど、これも相当ね。そう思いながらも、わたしはビンの中身を飲み干した。そして、どうだ、とジェームズの方を向いてやろうとしたとき、気を失った。