兵太夫くんを見送った後、着替えや化粧など身だしなみを整えてから、テレビをつけた。こんなに時間に余裕があるのは久しぶりだ。8時近くなるとようやく、綱海が目を覚ました。

「んあー、よく寝たー!」
「おはよー綱海」

テレビの音を遮り、綱海が伸びをした。もぞもぞと布団から出て、洗面所に向かう。何もしてない寝起きの綱海の頭は、大変なことになっている。わたしはテレビを切り上げて、綱海の分のご飯を用意し始めた。

「兵太夫は早いな、もういねぇのか」
「うん。ねぇ綱海、明日は綱海も一緒に食べようよ」
「いいけどよー、なまえは何時に起きてんだ?」
「6時半くらいでいいよ。なんかね、兵太夫くん、あんまりお母さん達と朝ご飯食べたことないみたいだから。せっかくだし、綱海も一緒に三人で食べたいじゃん」

わたしが言うと、綱海はニッと笑った。

「そうだな!んじゃあ、明日からは起こしてくれよ!」
「うん!」

明日からはもっと賑やかな食卓になりそうだ。それに綱海が起きてくれれば、ちゃぶ台でご飯食べれるし。

「あー美味かった!ごちそーさま!」
「一人遅く起きたんだから、食器自分で洗ってね」
「ちぇ、わかったよ」

ブツブツ言いながらも、食器を持って流しに向かう綱海。それを見届けてからわたしは、ちゃんと出掛ける用意を始めた。



大学までは、わたしの祖父母の家からの方が距離があるので、わたしはバスで、綱海は自転車で行っていた。綱海は春にバイクの免許を取ったけど、お金がないのでバイクは持っていないのだ。でも今日は、わたしも綱海のアパートからの登校なので、二人で一緒に歩いて行くことにした。わたしの自転車は祖父母の家に置きっぱなしだし、時間も早かったし。

さすがに学部は別々なので、大学の門をくぐった辺りで、わたし達は別れた。この後お昼になったら、また綱海と一緒に学食を食べに行ったりするので、よく考えたら一日の相当長い時間を綱海と一緒にいることになる。これからはあんまり喧嘩しないように気を付けよう、元々ほとんどしないけど。そういえばお昼で思い出したけど、結局お弁当作るのは忘れてたな。

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