「よう!久しぶりだな!」
「あー!土方くん!」

扉を開けたところにいたのは、笑顔の土方くんだった。土方くんは調理師免許を取るために、専門に行ったと聞いている。相変わらず、同級生とは思えない。お父さんって感じ。会ったのは、中学卒業の後に一度だけあった同窓会以来、かな?

「久しぶりだねー」
「そうだな!なまえが綱海と同棲し始めたって音村に聞いたけど、本当だったんだな」
「同棲って言わないで!兵ちゃんも一緒なんだから」
「兵ちゃん?」
「綱海のいとこ!」

わたしは体を玄関の脇に寄せて、中が見えるようにしたけど、人見知りする兵ちゃんは奥に行ってしまったのか、姿が見えなかった。

「…まあ、仲良くやってるみたいで良かったよ」
「ありがとう!ところで土方くん、今日は遊びに来たの?」
「ああ!あと、これ作りすぎちまってさ。よかったら食べてくれ」

土方くんが差し出したのは、タッパーに入ったお惣菜と、マドレーヌ。

「えー!すごい、美味しそう!貰っていいの?」
「おう!この時期、作りすぎても長くとっておけないしさ」
「土方くん、マドレーヌなんかも作るんだね」
「それは授業で作ったやつだけどな」

土方くんからタッパーを受け取る。土方くんの料理は、見た目もさることながら、味も抜群なのだ。いわゆるお袋の味ってきっと、土方くんの料理みたいな感じだと思う。懐かしいっていうか。土方くんはお父さんとお母さんの雰囲気を兼ね備えている。

「玄関で何話し込んで…って、土方じゃねーか!」
「お、綱海!久しぶりだな!」
「綱海、土方くんにご飯もらったよ!」
「久しぶりだな!なまえと土方、主婦みてぇだな!」

タッパーを片手に、玄関口で談笑。確かに主婦だ。土方くんが逞しいタンクトップ姿じゃなくて割烹着姿だったら、まさしく主婦の井戸端会議?

「そういえば、今トランプしてたんだけど土方くんも一緒にやらない?」
「それいいな!人数多い方が楽しいし」
「トランプ?言っとくが俺、兄弟達とやってるから強いぞ」
「げ、手加減してね」
「やるからには本気だ!」

ニッと笑う土方くん。これは、連敗ストップはちょっと難しいかもしれない。

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テーマ「人外ファンタジー」
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