昼食の時、嬉しそうに豆腐を食べる兵助を見て、一つ質問。

「もしわたしと豆腐が激流に流されてたら、どっちを助ける?」

こっちを向いた兵助は、すぐに何か言おうとして、真っ赤になった。それから、小さな声で言う。

「そ、そんなの‥‥に決まってるだろ」
「え?何?よく聞こえない」
「…ハニー!」

それだけ言うと、兵助はまた豆腐の方を向いてしまう。耳まで真っ赤なのは丸見えだ。

「なんで?」
「なんでってお前…ほ、ほら、もしそれでお前が死んだら、私が殺人犯みたいで後味悪いから」

兵助は咄嗟に思いついた言い訳の素晴らしさに感動しているようだった。わたしはにやりと笑う。

「じゃあ、激流の前には兵助とハチがいて、ハチは兵助が助けなかった方を助けると言っています。兵助はどっちを助ける?」
「は、そ、そんなの、豆腐に…」
「ちなみにわたしの服は流されてしまいました」
「ハニー!」

すぐに言ってくれた兵助に、思わずにっこりした。

「ありがとう!わたしが死ななくっても、豆腐よりわたしを選んでくれるんだね!」
「ばっ、ちがっ、はっちゃんはむっつりだから…!」
「それでも、わたしを気遣ってくれてるってことだよね」
「あ!いや…ええと…」

もごもご言っている兵助に抱き付けば、離れろ!と言いながらも、離そうとしない、そんな兵助がわたしは大好きです。




ツンデレ兵助くんと彼女
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