白恋ガールズトークの続き



今日はハニーが学校を休んだ。

「今日、ハニーちゃん練習来なかったな」
「なんかあったんだべ?」
「ハニー、熱が出たんだって」
「えー!大丈夫かな!」

練習が終わった後、みんなでグラウンド整備をしながら話した。

「多分明日には来れるって言ってたよ」
「なら良かった!」

ほっとした顔の紺子と珠香は、また二人話しながら女子更衣室に入っていく。僕達もトンボを片付けて、男子更衣室に入る。

「なんか、ハニーちゃんいないと寂しいべ」
「うん」

練習着を脱ぎながら、烈斗が言う。ハニーが聞いたら喜ぶだろうな。絶対に言わないけど。

僕は、お隣さんで幼なじみのハニーが、小さい頃から好きだった。自慢じゃないけど、僕はかっこいいから、ハニーだってすぐに僕のことを好きになると思った。けど、ハニーは烈斗のことを好きになった。見てたらわかる、わかりやすすぎる。でも生憎僕は、ハニーの幸せのために身を引こうなんて考えない。僕が、幸せにすればいいんだから。

「あ、今日吹雪くん着替えるの早いべ」
「ごめん、今日は先に帰るから、部室の鍵を頼むよ」
「わかった」
「何か用事があるべ?」
「うん、ハニーのお見舞いに」

にっこり笑って荷物を持つ。

「じゃあお大事に、って伝えて!」
「わかった、伝えるよ、真降」
「でも吹雪くん、いいべやー」
「何が?」
「吹雪くん、ハニーちゃんとお隣りさんだべ?俺もお見舞い行きたいけど、家遠いから無理だべ」

烈斗が残念そうに言った。少しだけ優越感を感じる僕は、いやなやつ。

「俺、ハニーちゃんが好きだから、吹雪くんが羨ましいべー」

どきっ、としたけど、表情は変えない。わかってた、烈斗もハニーのことが好きなのくらい。お互いわかりやすいくせに、気付かないんだ。だから僕も諦めきれないで、こんなちょっとした優越感を感じたりしては、後から嫌な気持ちになる。まったく、早く気付いたらいいのに。烈斗の気持ちか、僕の魅力に。

「ありがとう」

また笑顔で返して、それじゃあバイバイと手を振って、部室を出た。羨ましいなんて、烈斗、贅沢だ。それは僕のセリフだ。鈍感な幼なじみとチームメイトにモヤモヤしながら、僕は一人で帰り道を歩いた。いつもなら隣にはハニーがいるんだ。今はいない彼女に、小さくつぶやく。

「好きだよ、ハニー」

誰も聞いていない、誰にも向けられていない言葉は、鈍い色の北海道の空に溶けて消えてしまった。



白恋
ボーイズトーク
第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -