あの後全員レベルを計測した結果、機械のミスなんていうことは全くなく、浜ちゃんと泉くんが5レベル、わたしと廉くんは4レベルだった。司書さんは始めこそ、訝しむような顔をしていたけど、途中から不安そうな顔になっていた。大丈夫かしら、死なないかしら、とか思われたのだろうか。それなら、わたしも激しく同感だ。そんなことを考えながら、わたし達は図書館を後にした。そろそろ夕方なので、早く港街に戻らないと、せっかくの宿代が無駄になってしまう。

「つーか、ここ本当にドコなんだろーな。どう考えてもゲームって感じじゃん」
「なー!そーいやさー泉、三橋、RPG何やった?」
「おっオレ、ゲームは、あんまり…」
「あー、なんか三橋ん家ってそんな感じだな。俺はFFはまったなー」
「えー!俺、ドラクエ派だし!ここでもレベル上がったら、ファンファーレ鳴るかな」
「鳴んねーだろ、どこから流れてくんだよ」
「えー…空とか?」

たじと泉くんのどうしようもない会話を聞いていたら、普段の教室での雰囲気を思い出した。隆ちゃん元気かな。

「なまえ、大丈夫か?意識飛んでねぇ?」
「え?あ、大丈夫」

獣を倒した浜ちゃんが、わたしの顔の前でパタパタと手を振った。いけない、ここでは気の緩みが大怪我に繋がってしまう。

「そういえば浜ちゃんは、図書館で何読んだの?」
「あー、オレは歴史の本と、魔剣士がなんなのかって調べてた」
「歴史ってどんなだった?」

話していたら、ゲームトークで盛り上がっていた三人も寄ってきた。

「なんか、魔王…って言うのちょっと恥ずかしいな…まあとにかく魔王は、もう半世紀くらい前からいるみたいだ。俺らが今いる大陸が、世界でも北にあるみたいなんだけど、そのまた一番北に未開の土地があるとかで?そこにある日突然魔王が現れたみたいな?感じらしい。ジワジワ南下して支配してる範囲広げてるって」
「半世紀って!それもうむしろ共存だな!」
「そんで、大体の旅人は稼いで生きてくために、依頼とかやってるみたいだ。魔王討伐の旅人は全体の五割もいかないらしい」
「つまんねー、オレらは魔王倒そーぜ!」
「お前、甲子園もそーだけどさ、ちょっとマック行こーぜみたいなノリで言うなよ」
「甲子園はマジ行くもん!」

たじが剣を抜いて、バットみたいに構えた。そして、フルスイング。刃が空を斬って、ブン、という音を立てた。

「ちょっとたじ、振り回すの危ない!」
「んーいい音!」
「聞いてる?」
「あーやべ、野球してぇー」

人の言葉を無視して、もう二、三回スイングするたじ。廉くんもそれを見て、少し寂しそうな顔をした。みんな野球中毒だ。

「まあ、また今度ナオトのところ行ってやろうぜ。それより、腹減らない?なんか食おうぜ」
「賛成!」

浜ちゃんの言葉で一瞬にして機嫌が直ったたじに、泉くんと顔を見合わせ苦笑いした。単純だ。
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