ライオコット島は南国の島。いつも同じ練習では飽きてしまうと、体力強化の特訓も兼ねて海で泳ぐことになった。体慣らしに、最初の数十分は自由にしていていいと監督。多分、アジア予選勝利の、小さな息抜きの意味もあったんだろう。新しく買った水着を着て、海辺でばしゃばしゃやっていたら、綱海さんの声がした。振り返ると、髪と同じピンク色の大きな浮輪を持った綱海さん。

「綱海さん、浮輪…」
「いや、泳げないわけじゃねーぞ?!」
「知ってます!最初の選抜試合の時だって、嘘だかほんとだか知らないけど、沖縄から本島まで泳いだとか言ってましたもんね」
「ほんとだよ!それより、お前この浮輪入れよ」
「へ?わ、わたしだって泳げますよ!」

ちょっと怒ったわたしにお構いなく、綱海さんは上から浮輪をかぶせてきた。

「時間あるから沖の方まで泳いでみねぇか?ここの海、沖縄に負けず劣らず綺麗だぜ!」
「でも浮輪は、」
「沖の方は潮の流れが早いみたいなんだ。俺が引いてってやろうと思ってさ!」

海のスペシャリスト、綱海さんにそんなことを言われたら、反論もできない。

「ちなみにこの浮輪、持参したんですか?」
「いや、壁山のだ!あいつ、自分が浮輪みたいなもんなのにな!」

さらりとひどいことを言う綱海さんに手を引かれ、海に入る。冷たくて、気持ちいい。そのまま綱海さんに浮輪を引っ張ってもらって、沖の方へ進んだ。水中は顔をつけなくても下が見えるほど透き通っていて、サンゴや色とりどりの魚が綺麗だ。しばらくそうして泳いだ後、時間が近付いてきたので浜に戻った。

「楽しかったです!綱海さん、疲れてないですか?」
「このくらい、準備運動だ!」

にいっと笑う綱海さんの笑顔はまさに、この南国の太陽みたいに明るい。

「…ていうかよ」
「はい?」
「水着、似合ってんな!」

ちょっと顔を赤くして言って、監督やみんなの方へ走っていく綱海さん。わたしの顔も、真っ赤になってしまった。

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