知らない間にわたしと綱海さんのことがイナズマジャパンに広まってた。周りからの対応がちょっと変わっただけで、わたしと綱海さんの関係は特に変わっていない。
「あ、綱海さんまだ起きてたんですか、もうすぐ消灯ですよ」
「お前の洗い物が終わる頃だと思ってよー」
夕食の食器を片付けるのはマネージャーの仕事だ。イナズマジャパン全員分の食器は結構な量がある。手作業って昭和かよって思うけど、いろいろ設備を作ったために雷門も経費削減を余儀なくされている、
「今日お前、マネージャーの仕事で忙しくてあんまり話せなかっただろ。ちょっと話したいなーと思ってさ!」
キラキラの笑顔を見せた綱海さんにキュンとする。彼女という立場のひいき目もあるのか、前よりキラキラ五割増しに見える。発言の内容もあるのかな。
「え、えへ」
「でもまあ確かに、そろそろ消灯か…戻りながら話すか」
「はい!」
食堂の電気を消して、薄暗い廊下を歩く。一人で歩くにはちょっと怖いが、隣に綱海さんがいれば怖くない。しかし。
「うわ!」
「ひっ!なんですか!」
いきなり綱海さんが叫んで、めちゃくちゃ驚いた。
「今なんか聞こえなかったか?!ガサガサって!」
「え、ええー?風でしょう」
「いやだって窓は閉まってんじゃんよ…」
綱海さんがブツブツ言いながら、わたしの腕を掴んだ。これじゃあ男女逆転だ。わたしより綱海さんが可愛い。面白くなったわたしは、突然窓を指さした。
「あ!今何か横切っ」
「うわあああ!」
綱海さんはわたしの腕を掴んだまま走り出した。引っ張られるまま足を動かしながら、また綱海さんの可愛い一面を知ってしまった、と嬉しくなってしまうわたしだった。