翌日は、午後から監督が用事でいなくなるので、練習は午前のみだった。お昼を食べて、みんな適当に自主練なんかを済ませ、ちょっと小腹が空いてきた頃。壁山くんが、普段はあまり食べる時間がないスナック菓子を持ってきた。

「食べたくて買ったんスけど、朝や昼や夕方は練習があるし、夜は疲れて寝ちゃうから、なかなか食べれなかったんス!」

そう言う壁山くんは、両手いっぱいにお菓子を抱えた姿がよく似合う。天気もいいし時間も早かったので、グラウンドのすみでシートを広げて、そこでお菓子パーティーが始まった。わたしと秋ちゃんと春奈ちゃんでジュースやらを持ってくると、すでに選手達はお菓子に手をつけ盛り上がっていた。練習後でお腹が空いてるし、久しぶりに食べるスナック菓子はおいしいんだろう。量はたっぷりあるのでなくなる心配はない。わたしはジュースを置くと、座れる場所を探した。

「こっち開いてんぞ!」

きょろきょろしていたら、綱海さんが手を振って教えてくれた。ありがとうございます、と駆け寄ろうとして、はっとする。

「綱海さん、それ…」
「ん?ああ、これか?怪獣の爪!」

ぐさ、っとわたしの腕を刺したそれは、間違いなくとんがりコーン。綱海さんの手には、丁寧に親指にまで、とんがりコーンがはまっている。

「…ってよくやったよなぁって思い出してさ!」
「わたしも昔やりました!」
「やるよなあ!」

とんがりコーンを食べたことがある人は、誰でも通る道だろうと思う。だってあれは、はめたくなるよね。

「とんがりコーンってなんだ?」
「くそぅ鬼道くんのお坊ちゃまめ!」

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