昨日の夜のジョニーショックから、今日の練習でわたしは自然に綱海さんを探してしまった。グラウンドのまわりを走る壁山くん栗松くん木暮くん。ゴール前でディフェンスの練習中の飛鷹くんと円堂くん。ドリブルの練習をしてるのは、風丸くんと基山くんと土方くん。豪炎寺くんと虎丸くんは、必殺技を練習してるみたいだ。鬼道くんと不動くんは、言い争いしながらも作戦の確認をしている。うーん、綱海さん、いないな。

「秋ちゃん、綱海さんは?」
「綱海さん?そういえばさっき、立向居くんとあっちにいたよ」

秋ちゃんの指した方に向かうと、体育倉庫の前に二人がいた。ちょっと隠れて様子を伺う。どうやら立向居くんが元気がなくて、綱海さんが励ましてるみたいだ。

「立向居、元気出せよ!エイリアとやった時、あれは立向居がいたから勝てたんだ!」
「でも、イナズマジャパンでは円堂さんはキーパーだし、僕…」
「だー!そんなこと言ってたらずっと強くなれねーぞ!円堂を超えてやる!って気持ちでやんねーと!」
「綱海さん…」
「立向居はすげーよ!お前の必殺技だって、円堂にはできなかった技なんだ。本当に頼もしかったぜ、ムゲン・ザ・ひゃんど!」
「はい…え?」
「ん?」
「え?」

わたしは必死に口をおさえた。今声を出してはいけない。と、思いつつも、やってしまったという雰囲気を出している綱海さんと、言いたいけど言ってもいいのかどうしようかという表情の立向居くんは、これ以上なく面白い。しばらく気まずい空気が流れたので、わたしはさも今来たかのように、影から飛び出した。

「つ、綱海さん立向居くん、こんなところに!監督に見つかったら怒られちゃいますよ、早く練習に戻りましょう!」
「お、おう、そうだな!もう平気か立向居?」
「あ、は、はい!わざわざすみません、ありがとうございます!」

ありがとうございますは、綱海さんはもちろんだけど、わたしにも向けられていた。今の空気は、わたしも耐えられないだろうな。

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