わたしの恋人、綱海条介は今、エイリア学園と戦う為に、イナズマキャラバンに乗って、沖縄を離れている。本当は綱海のところまで行って実際に応援したいけど、悲しいことにわたしには学校があるし、受験もある。というわけで、応援はメールと電話と、テレビに向かって、だ。試合があるときは、大海原中のサッカー部員達を中心に、近くのペンギーゴに集まってみんなで試合観戦をするので、その時はわたしも勉強なんて放り出して、ペンギーゴに行く。綱海に聞こえるはずはないけど、みんなと一緒に全力で叫んで応援する。サッカー始めて間もないのに、綱海は結構活躍していて、さすがだなあと思った。昔から運動神経が良くて、普通の教科は駄目なのに、体育の成績だけはずっと5だった綱海。そんなスポーツマンなところや、誰にでもわけ隔てない明るい性格や、困っている人を放っておけない頼れるところからか、綱海はいつも、自然とクラスの中心にいた。その隣にいつもわたしがいることが、わたしはこっそり自慢だった。でも今は、綱海が遠い。今の綱海の周りには雷門イレブンがいて、わたしはいないのだ。




今日はジェネシスとの最終決戦、わたし達はいつものようにペンギーゴに集まっていた。お互いに新しい究極奥義が出たりと激しい攻防の末、勝ったのは、雷門中だった。

「綱海やったさー!」
「いえ〜いっ!」

クルクル回って喜んでいるみんなの中で、わたしはぺたんと座り込んだ。

「なまえ?」
「…よかったあ、綱海達が勝って」

不思議そうにこっちを見た音村に情けなく笑うと、音村はにっこり笑って、わたしの腕を掴んだ。

「そうだよ、なまえもノリノリで綱海の勝利を祝おう」

引っ張って立たされて、一際ばか騒ぎしている大海原イレブンの中に放り込まれた。前はこういう輪の中心には必ず綱海がいたなぁと思ったら、やっぱりちょっと寂しかったけど、もみくちゃにされている内になんだかおかしくなってきて、笑えてきた。テレビはサッカーの中継が終わり、財前総理がなにやらしゃべっている。そのまま祝勝会に突入していたわたし達は、完全にテレビを無視していたけど、しばらくして財前総理の話が終わったのと同時に、画面にイナズマキャラバンの中の様子が映って、驚いてテレビを見た。今まではこんなことはなかった。テレビの中では、雷門イレブンのみんなが、ここと同じようにお祭騒ぎしているようだった。円堂くんと立向居くんと肩を組む綱海が映って、胸がぎゅっとなる。しかし綱海達はすぐに見えなくなった。カメラに気が付いたらしいリカちゃんが一之瀬くんを引っ張ってきて、カメラの前を占領したのだ。ラブラブアピールをするリカちゃんと、逃げようとする一之瀬くん。その二人の間に、いきなり綱海が割って入った。同時に携帯が鳴って、驚いて見ると、綱海からの着信。どういうことだ、と携帯とテレビを交互に見ると、テレビの中の綱海も携帯を耳にあてていた。携帯からは、リカちゃんの文句も聞こえてきた。

「なまえ!テレビ見てんだろーな!」

携帯とテレビから、同時に綱海の声がする。わたしはちょっと震える声で、見てるよ、と返した。テレビの中の綱海が、嬉しそうに笑った。

「俺、この喜びを一番にお前に伝えたかったんだ!」
「うん…」
「なまえが見てる、なまえが応援してくれてるって思ったらすげぇ力湧いてきたんだぜ!今日の俺様のプレイ見てたか?」
「うん、最高だったよ、綱海…!」
「だろ!だからお前は胸張って、俺の帰り待ってろよ!俺の彼女なんだからさ!」
「綱海、やるなぁ」

横で音村が、ひゅうと口笛を吹いた。わたしはぼろぼろ泣きながら、見えてないのに何回も頷いた。遠くにいても、わたしと綱海は繋がってる。

「もうすぐ帰るから、待っててくれよ!」
「うん、宇宙一おめでとう、綱海!」
「へへ、サンキュー!俺が宇宙一だったら、お前は宇宙一の男の彼女ってことだな!」
「宇宙一幸せにしてね」
「任せとけ!」

携帯の向こうで綱海がニッと笑ったのがわかった。わたし達は繋がっているのだ。もう大丈夫、寂しくない。離れているのに、綱海をすごく近くに感じた。



 
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