「いっかげつ、これのめんどうをみてくれたら、あなたのいちばんのぞむものをなんでもひとつ、さしあげます。とちゅうでほうきしてもかまいませんが、そうしたばあい、このやくそくは、なしになります。つよくのぞむものがある、だれかへ」

ある日、クラピカの元に、差出人のわからない手紙と、大きな箱が届いた。クラピカは眉を潜める。箱の中身は、十中八九、手紙に面倒を見ろと書かれた、「これ」だろう。手紙を開ける時も、凝で十分注意をしてから開けたが、箱の方はそれだけの問題ではない。クラピカの胸の高さほどまでの大きさのある箱には、例え仮に生き物が入っているとしても、選択肢がたくさんありすぎる。そして、全部平仮名で下手くそな字の手紙。幼い子どもが書いたような文字なのに、文調はあまり幼いとは思えない。そして、望むものをなんでも一つくれるという言葉。また、宛先も、強く望むものがある誰かへ、という、クラピカが誰かすらわかっていないような言い方だ。普通に考えたら、ただの悪戯としか思えないだろう。だがクラピカは、手紙を凝で見た時、微かだが温かく、そして懇願するような念を、感じた。それは恐らく、意図して込めたものではなく、強い想いで自然に込められたものだろう。

「…ふう」

嫌な感じはしない。気配はないが、殺気もない。クラピカは覚悟を決め、箱に巻かれたリボンを解き、蓋を開けた。覗き込んだところにいたのは、これまたリボンで両手を縛られた、一人の女の子だった。

第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -