一瞬、時が止まったような気がした。

目の前には、わたし達旅団が狙っていたパンドラリングと呼ばれる真っ黒な指輪と、男の人の死体が転がっていた。パンドラリングからは大量の黒い煙が噴き出していた。そしてその煙は、わたしの体からも出ていた。

「ナマエ!!」

一緒に屋敷に侵入していたマチが、隠し部屋の扉を乱暴に開いて入ってきて、黒い煙に包まれたわたしの姿を見て愕然とした。

「ナマエ…まさか…」
「っ、」

口を開いても、声が出なかった。煙の量はどんどん増えて、マチの姿が見えなくなっていく。

マチの伸ばした手が空を掴むのを見たのを最後に、わたしは意識を手放した。



さようなら、親愛なるわたし!
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