「入りますねー」
「ん、おかえり」

地下からイルミの部屋に戻ると、窓から差し込む光になんとなくほっとした。ついてきてくれた執事にお礼を言って扉を閉める。

「武器は?」
「これです!」

箱をイルミに渡すと、イルミはすぐにそれを開けて中を見た。綺麗に並んでいるダーツの矢を一本取り出して、指に挟んでクルクルとそれを回す。

「あ、その針のとこ、なんで長いんですか?」
「だって武器として使う時、針が心臓まで届いた方が楽でしょ」

にこにこしながら質問したナマエは、イルミの答えを聞いて表情を固くした。生々しい話は苦手らしい。イルミはそんなナマエなど気にせずに、持っていたダーツをナマエに渡した。

「ハンター試験までに、これの扱いに慣れないと死ぬかもよ」
「そんな過酷なんですか…!」
「知らないけど」

イルミの言葉に、ナマエは小さくため息をついた。でもその予備知識が少ない試験に参加しようと思ったのは自分なのだから仕方ない。

「念使わなくていいときは使わないこと」
「はい」
「あと、勝ち目のない敵とは戦わないこと」
「はい!」

もちろんですと言わんばかりのいいお返事をしたナマエ。イルミはそれを見てこくんと頷いてから、言った。

「じゃあ、今日の特訓ね」
「え!」

念も完成したし、今日の特訓はないと思っていたナマエは、思わず声を上げてしまう。イルミは当然、と言うような顔をして、箱をナマエに返した。

「それで狙ってきていいよ」
「え、でも」
「ナマエ程度のなら全然避けれるから」
「そ、そうですよね…」

ナマエは苦笑いしながら箱を受け取り、ダーツを取り出した。大きさに合わない、ずしりとした重みを感じる。イルミはすでに、いつものように距離をとっている。ダーツを手に隠すように持つと、ナマエも戦闘体制に入った。






#ナマエの念能力

影の支配者(シャドウマスター)


敵の影にダーツの矢を刺すことで、敵の動きを止める。さらに、その刺さった矢を抜いて持っている間、敵の影を立体化して操ることができる。自分の影に矢を刺した場合は、自分の影を立体化して操れる。

ただし影が出ていない場所では使えない。また、影に矢を刺した状態では動きを封じるだけで、念による防御などはできる。通常効果は180分だが、雲などで影が消えたらその時点で切れてしまう。立体化した影を操っている場合は、矢が手から離れた時点で消えてしまう。同時に操れる影は5体まで。
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