テストが終われば、当然結果が返ってくる。部室で結果の書かれた成績表を持ち寄り、額を寄せ合っているのは、なまえと音村とキャン。

「せーの、」

なまえの掛け声で、結果を一斉に見せ合う。

「うわっ楽也、やば!」
「当然のようにクラス1位だね…」
「そういうキャンも、クラス6位じゃんか」
「うん、頑張った!」
「なまえは?」
「…13位」
「あー」
「わ、悪くはないよ!」

英語、国語、社会は得意でも、数学、理科が苦手という、典型的文系のなまえは、理系教科が足を引っ張っていた。キャンは全体的に可もなく不可もなく、少し勉強すれば高得点も出せる。音村に関しては、苦手教科がないという万能型である。クラス1位は毎度のこと、学年トップも何度も経験している。

「お、結果発表会か?」
「どうせ、音村が一位だろ」
「渡具知、シャーク」

部室に入ってきた二人に、音村が声をかけて、なまえとキャンも顔を上げた。

「二人はどうだった?」
「ほどほど」
「赤はなかった」

苦笑いの二人。なまえ達三人は部の中では成績がいい方で、池宮城達は低空飛行組である。

「期末が問題なんだよなー」
「範囲広いもんね」
「何々、テストの話?」
「あ、サンゴちゃん!」
「サンゴは赤点なかった?」
「なかったわ」
「やっぱ、中間は全員クリアか」
「わかんないぜ、赤嶺とか」
「赤嶺はセーフだったって昼にうちのクラスまで報告に来たよ」
「あいつ毎日行ってないか?」
「まあとにかく、中間は全員無事に終わってよかった」

音村の言葉で全員がほっとした表情になった中、言いにくそうに謝花がつぶやく。

「あの…」
「ん?」
「幹生、やばかったみたい」
「…え」

一瞬にして、部室の空気が凍る。そういえば、いつもなら謝花と一緒に部室まで来る安室だけれど、今日は一緒ではない。

「まさか、教室で落ち込んでるんじゃ…」
「ただでさえレギュラーのキーパーになれなくて悩んでたのにな、あいつ…」

そんなしんみりとした空気になってしまった部室の扉が、突然開いた。みんなの視線が集まった、そこにいたのは、安室。

「安室!」
「なんだよ、暗いな」
「お前…思い悩んで退部なんて、するなよ!」
「は?!しないよ!なんで!」

駆け寄ってきた部員達に、不審そうな目を向けた安室。

「え、だって安室、赤点あったんじゃ、」
「ねーよ!」

みんなの注目が安室から謝花に移った。楽しそうにその光景を見ていた謝花は、にこっと笑った。

「やばかったって言ったけど、赤とは言ってないわ。だって幹生さっき、ギリギリって言ってたし」
「サンゴ、言うなよなそういうの!セーフだったんだから、良くても悪くてもわかんねーだろ!お前らも信じんなよな!」
「だって、安室だったから…」
「どういう意味だよ、キャン!」
「そのまんまだよ。さ、早く練習始めよう」
「はーい」

音村の言葉に、ぐちぐち言っている安室を残して、みんなバラバラと部室を出ていく。こうして、今回のテストも無事に過ぎていくのだった。



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