「ねぇみんな大変…って」
「あ、おはよなまえ」
「なんで部室にテレビ?」
「監督が教室から運んでくれたの」
「雷門とエイリア学園の試合の中継があるからね」
「なんだ、みんな知ってたのかぁ」

あれから二週間後の土曜日の練習。練習は急遽中止になり、サッカー部一同は雷門中の試合を見守っていた。場所は北海道の白恋中。

「あ、フォワードに豪炎寺がいない!」
「ほんとだ!」
「それに、見たことない人が入ってる」

新しい雷門メンバーに、目を丸くする部員達。そうこうしている間に、試合は始まってしまう。カメラで追えない早さのジェミニストームに、それよりさらに早い雷門中サッカー部。くるくる回されるパス、次々繰り出されるすごい必殺技、戦局は雷門中が優勢だった。フットボールフロンティア優勝校とは言え、あまりにレベルが違うサッカーに、大海原サッカー部員達は口を開けて試合を見ていた。やがて試合は、雷門中の勝利で終わった。中継が終わり、CMが流れているテレビを無視して、部員達はため息を吐いた。

「すごかったな…」
「ね」

静かな部室の中に、他の部の休憩中の賑やかな声が聞こえてくる。

「…練習、する?」

控えめに言ったなまえの言葉にみんなが頷き、立ち上がる。すごいなあ、で終わってはいけないのだ。もっと強くなろう、に繋げなければ意味がない。バタバタと部室を出ていくみんなを見て、なまえも嬉しそうに準備を始めた。と、そこに、部員達に練習の指示をした監督が入ってくる。

「あ、監督。試合見てましたか?」
「おう、職員室で見てたぞ」
「あー!一人だけクーラーあるところで!ずるい!」
「いいだろ、先生の特権だ」
「わたし達なんて汗だくですよ」
「痩せるぞ」

監督の言葉に、咄嗟に言い返せなかったなまえ。監督はにやりと笑って、なまえは悔しそうな顔をした。

「ところでな、なまえ」
「はい?」
「テレビ、教室まで持ってくの手伝ってくれ」
「えー!嫌ですよ!それにドリンク用意しなきゃですし」
「そうか、残念だ…このテレビ、クーラーついてるパソコン教室から持ってきたんだがな…」
「…し、仕方ないですね、手伝ってあげます」
「助かる!」

にっこり笑った監督に、バカそうに見えて意外と策士め、となまえは心の中で悪態をついた。なにせ心の中なので、なまえが単純なのだと突っ込める人はいなかった。


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