食卓に置かれた白い皿の上に、それは乗せられていた。

その存在にも関わらず、食卓は今日も清潔で無菌そのものを体現しるかのような、安心で優しい場所だった。
ヒカリはそれを見つめて、しばらくの間その運命についてを想っていた。
じわりじわりとぼんやりとした悲しみがあと少しのところまで押し寄せてきていたが、それも手の内のフォークの確かな重さに塞き止められていった。

ヒカリはそれの中心にフォークを慎重に立てた。
フォークの先の1本1本に延長した意識がその生命のない柔らかさを伝えてくる。ヒカリはゆっくりと、そのまま垂直にフォークを突き刺した。

どろりと、それは音も立てずフォークを受け入れた。溢れ出したそれがじわじわと皿中に広がり、白を脅かしていく。

突き刺したフォークのステンレスの鈍い銀色が光った。
その先には、どろりとした黄身がついている。



どうやら半熟だったらしい。


ヒカリはふわふわした白身を切り分け、一口、一口、口内に運んだ。

それらはみんな呆気なくヒカリの食道を通って、消化されるべく胃の中に吸い込まれていった。



今日の朝ごはんはこれでおしまい。




ある朝の食卓



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