「だぁぁぁあっ!勝てねぇえっ!!」 そう叫んでグリーンは人のファミコンのコントローラーを勝手に放り投げた。 テレビ画面ではゲームの決着がついたところだ。結果はまあ、ぼくの圧勝。 「何でお前そんなに強いんだよ?!」 「グリーンが下手なんじゃない?」 思ったことをそのまま口にしたら睨まれた。手を抜いたら怒るくせに、負けるのは悔しいらしいから不思議だ。 「あーもう!違うソフトにしょうぜー」 「もうこれで全部だよ」 「はぁー?」 グリーンがあからさまに不機嫌になる。ここまで確かぼくの通算63勝0敗。ぼくもだけど、ここまで負けっぱなしで飽きないグリーンはすごいと思う。 「ああもう、お前がやりこんだゲームやってても勝てるわけねぇじゃん!他になんかオレが勝てるやつやろうぜー」 さらっと凄い発言をしてグリーンがファミコンの電源を切った。 「ポケモンバトル…、ごめん」 「ウゼぇっ!」 「…身長?」 「…それって、勝負なのか?」 「…じゃんけんする?」 「もっと他になんかあるだろ!」 最後は割りと真面目な提案だったのにあっさり却下された。 他に、と言われても、ゲームもポケモンも身体的特徴も運まかせも無理ならじゃあ… 「…シてみる?」 「…それも、勝てない」 グリーンが赤くなって言うから、とりあえずぼくは押し倒すことにした。 :勝てない! |